志岐さんと夏目くん


「ののちゃん、がっつき過ぎ〜」

「ジュリだってそうじゃーん」

「だって他校の人と仲良くなれるチャンスなんて滅多にないしさぁ、どうせならイケメンと仲良くなりたいでしょー?」

「うんうん、そのとーりっ!!」



そんな風に笑う二人と一緒に、廊下を進んでいく。


女子同士は面倒臭い。って思うけど、二人を見てると自然と笑顔になって、楽しいって気持ちの方が勝つ。

あまり会話に加わっていなくても、こうやって明るい場に一緒に居るのは本当に楽しかった。


──……二人にクラスメイトのことを色々教えながら、更に廊下を進んでいく。

と、教室の前の廊下で呼び込みをしていた鳴沢くんが、私たちに可愛らしく微笑んで頭を下げた。



「お帰りなさいませ、お嬢様」

「ふふっ……鳴沢くん、お疲れ様。 すっかりメイドさんが板についた感じだね。 夏目くんたちは……まだ準備中?」

「うん、なんか裏でワチャワチャやってるみたいだよ」



喫茶店の中を覗くけど、先に戻った夏目くんたちの姿はない。

夏目くん、本当にメイドさんをやるのかな?

少しの心配と、かなりの期待を感じながら裏方へと続くドアを見る。


< 111 / 133 >

この作品をシェア

pagetop