志岐さんと夏目くん
「……佐々木さん平山さん、私はみんなのところに行くね。 まだまだ時間はあるから、二人はこのあともいっぱい楽しんでっ」
「うん、わかった!! メイドさんになった夏目くんが見たいから、お店の中で待ってるねっ!!」
「うんっ」
お互いに手を振ったあと、スタッフオンリーと書かれているドアをそっと開けた。
……裏方の人たちは、お店で出す飲み物やお菓子の用意などで かなり忙しそう。
そんな人たちの更に奥……に、小日向くんと馬場さんの姿が見えた。
夏目くんは、彼らの更に奥。
イスに座っているのか、姿はハッキリと見えない。
「ごめん、ちょっと通るねっ……」
仕事をしてる人たちの邪魔にならないよう、みんなの間をサササーっとすり抜け、そばに行く。
「おっ、志岐さん。 あの女の子たちは?」
「お店に入ったよ。 って、わぁ……夏目くん、可愛いっ」
「ほんと、さっすが夏目だよなぁ〜」
ニヤニヤと笑う小日向くんが、持っていたスマホでパシャリと写真を撮る。
メイド服に身を包んだ夏目くんは、美少女へと変貌を遂げていた。