志岐さんと夏目くん
ニヤニヤと笑う小日向くんが、更に言葉を繋げる。
「ま、梶くんが夏目の彼女に手を出すことはないと思うけどね」
……って、あれ?
私、夏目くんと付き合ってることは、まだ話してない……よね?
でも小日向くんは、知ってる……?
「志岐さんと夏目、付き合い始めたんでしょ?」
「う、うんっ……どうしてわかったのっ……?」
「えー? だって空き教室に来た時、手ぇ繋いでたしさ。 それになーんか良い雰囲気だったじゃん? つーことで、馬場ちゃんが夏目をメイクしてる時に問い詰めたんだ」
「……なるほど。 ということは、馬場さんも知ってるんだね」
「うん、あとは裏方やってた奴らも聞こえてただろうなぁ。 今頃はもう学年中に広まってるかも」
……えぇ……。
裏方の人たち、みんな普通の顔だったのに知ってたんだ……。
それに、馬場さんも。
全然驚いた様子とかじゃなかったのに、まさかもうバレたあとだったとは……。
「……なんか、学校に戻るのが怖くなってきた……」
「アハハ、大丈夫だよ。 みんな祝福してくれるって」
「や、でもさぁ……他のクラスの女子二人が私のところに来たことがあったじゃん? またあんな風に「口撃」されそう……」