志岐さんと夏目くん
カラオケ


………

……




カラオケに来たのは、小学四年生の時以来。

親に連れられて来た思い出があるけど、それ以降は全くない。

元々、歌にあまり興味のない人間だったから……親と来た時も、私はひたすら食べ物と飲み物を楽しんでたっけ。


あの時は確か、二時間だか三時間だか居たような気がする。

でも今日は私の電車の時間もあるから、一時間だけにした。

フードはなし。

飲み物もそれぞれ一杯だけ頼んだ。



「え〜じゃあ志岐さんって夏目くんと同じクラスなんだぁ」

「いいなぁ同じクラス。 私は隣のクラスだからなかなか会えないんだよねー」

「私もぉ〜」



……カラオケ屋だけど、誰一人マイクを持つことはない。

現在は、男子は男子、女子は女子で会話中。


案外広い部屋に通されたから、男子側の会話は聞こえてこないし、こっちの会話も向こうには聞こえていないと思う。

モニターからは常にBGMみたいなものも流れてるしね。

だからそれぞれ、ボリュームは抑え気味だったけど楽しく話していた。

佐々木さんも平山さんも人懐っこくて、喋ってみると案外 気が合いそうな感じだ。

甘ったるく語尾を伸ばすのは、なんだかむず痒いけど……。


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