志岐さんと夏目くん
「ほらな? こういう馬鹿なことを言ってくる奴は どこにでも居るだろ?」
「ちょっとー、馬鹿って私たちのこと?」
「お前ら以外に誰が居るんだよ」
「え、小日向自身?」
「なんで俺が俺を馬鹿呼ばわりしないといけないんだっ。 いいから散れいっ、仕事しろっ」
「小日向うるさい、お店の方に声が聞こえちゃうでしょっ」
小日向くんを疎ましそうにする女子たちは、作業をしながらまた私に声をかけてきた。
「志岐さんごめんね〜、私たち冗談で言ってるだけだから、あんまり気にしないでね」
「そうそう、小日向が突っかかってきただけ。 ていうか私、彼氏居るしさ」
「えっ、それ初耳っ。 いつの間に出来たのっ?」
「一昨日っ。 バイト先の先輩で、大学生なんだよねぇー」
「わぁ羨ましいっ。 ウチのバイト先は既婚のオッサンしか居ないよ〜。 しかもなんかエロい目で見てくるんだよねぇ……」
「うわぁ、最悪だね。 超キモイ」
……と、いつの間にか私と夏目くんの話ではなく、バイト先のキモいオジサンの話へとなっていた。