志岐さんと夏目くん


他のクラスメイトも、



「夏目くんをよろしくねー」

「二人でゆっくり過ごしてねっ」

「また明日ーっ!!」



と口々に言い、帰って行った。

そうやって、あっという間に二人きり……。


夏目くんは相変わらず机に突っ伏したままだ。



「夏目くん、大丈夫?」

「……んー、なんとか平気」

「少し休んだら、私たちも帰ろうか」

「うん」



そばに寄って、向かいのイスに座る。

その時に、体を起こした夏目くんが真っ直ぐに私を見た。



「……今日さ、一緒に居られなくてごめんね?」

「ううん、全然っ。 お仕事だったんだから仕方ないよ」

「押しつけられた仕事、だけどね。 あーぁ、本当は少し手伝ったあとに食べ歩きするつもりだったのになぁ」

「私は他の人が買ってきてくれたタコ焼きを裏で食べたけど、夏目くんは休憩の時にお菓子をつまんだくらい?」

「うん、あとはジュースをコップ一杯。 つーか、休憩したのってその二、三分のみ……。 アレ絶対に労働基準法違反だよ」

「ふふっ、ほんとだね。 でも、夏目くんが頑張ってくれたお陰で 明日は全員フリーだよ」


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