志岐さんと夏目くん
お互いに気恥ずかしさを感じながらも、それでも笑い合う。
ずっと一緒に居られる未来に、胸を膨らませながら。
「そういえば夏目くんって、私のことを名前で呼んでも「さん付け」だったね」
「なんか、美織さんは美織さんって感じがするからね。 てか、俺のことは結局「夏目くん」のまま?」
「あー……ごめん、名前で呼ぶのって、やっぱり恥ずかしくて……」
「アハハ、わかる。 実は俺もすげー恥ずかしい。 ので、いつも通り「志岐さん」って呼んでくね」
「うん、わかった。 お互い自然に呼べるようになるまで、のんびりやって行こう」
「だね。 ちなみに俺は、志岐さんが嫌じゃなければ今後 八十年くらいは一緒に居るつもり。 だから超絶ゆっくりでも全然大丈夫だよ」
そう言って笑った夏目くんが、そっと私に手を差し出す。
だから私も笑顔を見せながら、その手に自分の手を重ね合わせた。