志岐さんと夏目くん
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「……なるほど。 中学の時の友達と久々に会う約束をしたけど、見栄を張って「彼女を連れて行く」、と言っちゃったわけね」
「そういうことです」
「というか、なんで私がその役目に選ばれたの? 夏目くんなら、もっといっぱい他に頼めそうな友達が居るでしょ?」
──彼、夏目 涼太郎くんはクラスの人気者で、男女共に友達が多い。
むしろ女子たちは、夏目くんのファン……というか、いつか彼女になりたい!! と思ってる人の方が多いだろう。
だから「彼女のフリ」を頼まれたら、きっと我先にと手が挙がる。
なのに、夏目くんは私に「彼女のフリ」を頼んだ。
友達はほとんど居らず、一人で行動することの方が気楽だと思ってる この私に、だ。