志岐さんと夏目くん
ほんの一瞬。
一秒にも満たない時間だったけど、それでも私と夏目くんは確かに口づけを交わした。
そのあとに、唖然としてる男子二人を見る。
彼らの彼女である佐々木さんと平山さんには悪いけど、でも、言おう。
「近藤くんと山口くん、二人とも凄くカッコ悪いよ」
たった一言。
それだけでいい。
グダグダと言う必要はない。
どうせ、もう二度と会わないのだから。
「行こう、夏目くん」
驚いた顔のままの夏目くんの手を引き、部屋を出る。
「「 志岐さんっ……!! 」」
ドアが閉まる直前に女の子たちの声が聞こえたけれど、振り返ることなくその場を立ち去った。