志岐さんと夏目くん


確認のためにスマホを見ると……、



【 話し足りないから もう少し喋りませんか? 】



……という、夏目くんからのメッセージが届いていた。


私は、【 無事に着いたよ 】って夏目くんに連絡をしたら終わるつもりだった。

そのためだけに連絡先の交換をしたんだと思ってた。


でも。

喋ってもいいんだ。

もう少しだけ、夏目くんと話しててもいいんだ。



【 私ももう少し喋りたいって思ってた 】



胸の高鳴りを感じながら、そう送る。


……本当はね、電車の到着に気づかなかったフリをして、もう一本遅い電車にしちゃおうかな? って思ってたんだ。

帰るのは遅くなるけど、それでもいいって思えるくらいに楽しかったから。


でも夏目くんが電車の時間を教えてくれたから、私は我に返ることが出来た。

私は何時に帰ってもいい。

けれど夏目くんに迷惑をかけてはいけない。

これ以上 彼の時間を奪ってはいけない。

そう思うことが出来たから、私は一人でこの電車に乗っている。


だから……夏目くんから連絡が来て、凄く嬉しい。

本当に、凄く凄く嬉しいんだ。


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