志岐さんと夏目くん
【 電車内での暇つぶしの相手になれそうでよかった笑 】
そう返ってきた夏目くんのメッセージを見て、クスッと笑う。
スマホの画面を見ながら一人で笑ってるなんて、周りの人からは気味悪く見えるんだろうな。
でもいいや。
どうせ周りは知らない人ばかりだし、無理矢理に笑顔をやめたらそれこそ変な顔になっちゃいそうだし。
今が楽しければいい。
それでいい。
そう思いながら、私は夏目くんとのメッセージのやり取りを続けていった。
電車内での三十分は、いつもはとても退屈だ。
けれど今日の三十分は、幸せな三十分。
【 あ、色々喋ってる最中でも、家に着いたらソッコーで教えてね?笑 】
という言葉に【 わかってるよっ笑 】と返しながら、私はまた微笑んだ。
──……そのあともずっと、ずっとずっと夏目くんとのやり取りは続いていった。
それは電車内の三十分だけじゃなくて、【 家に着いたよっ!! 】という報告をしたあともだ。