志岐さんと夏目くん


私は彼女たちの連絡先は知らないし、男子二人の連絡先も当然知らない。

いや、知ってたとしても、あんなことがあったんだから即ブロックしただろう。

夏目くんも彼女たちとはまったく絡んでないから、連絡先の交換はしていない。

それに、男子二人のことももうブロックしたと思うから……接点は完全になくなった。


一瞬だけ近づいた他人がまた遠い他人に戻っただけ。

それだけだ。



「どうなったかは気になるけど、気にしてもしょうがない。 うん。 嫌なことは忘れて、早く寝よう」



そう自分に言い聞かせたあと、部屋の電気を消して目を閉じる。


嫌なことは忘れよう。

覚えておくのは、夏目くんとの楽しいやり取りだけでいい。

そう思いながら、私は静かに眠りについた。





< 38 / 133 >

この作品をシェア

pagetop