志岐さんと夏目くん
私は彼女たちの連絡先は知らないし、男子二人の連絡先も当然知らない。
いや、知ってたとしても、あんなことがあったんだから即ブロックしただろう。
夏目くんも彼女たちとはまったく絡んでないから、連絡先の交換はしていない。
それに、男子二人のことももうブロックしたと思うから……接点は完全になくなった。
一瞬だけ近づいた他人がまた遠い他人に戻っただけ。
それだけだ。
「どうなったかは気になるけど、気にしてもしょうがない。 うん。 嫌なことは忘れて、早く寝よう」
そう自分に言い聞かせたあと、部屋の電気を消して目を閉じる。
嫌なことは忘れよう。
覚えておくのは、夏目くんとの楽しいやり取りだけでいい。
そう思いながら、私は静かに眠りについた。