志岐さんと夏目くん
スラスラ〜っと出てくる夏目くんの言葉に、女子二人だけじゃなくて教室に居た人たち みんなが耳を傾けている。
女子二人は驚いた感じで、クラスメイトたちは興味津々で目を輝かせながら。
「ほら、志岐さんって口が堅そうじゃん? だから俺の馬鹿みたいな嘘にも付き合ってくれるかなって思って、メチャクチャ頭を下げて頼んだんだ」
……実際には、有無を言わさず連れていかれたけどね……。
「志岐さんと手を繋いでたのもそれが理由。 中学ん時の友達とはもう別れたあとだったけど、どこかでこっそり覗かれてるかもしれないって思ったから ギリギリまで「彼女のフリ」をしてもらってたんだ」
「……で、でも、それにしては随分と仲が良さそうだったけど……」
「今度の学園祭のことを話してたんだよ。 クラスの出し物の話をクラスメイトとするのって普通だし、それで盛り上がるのも別に普通じゃない? で、他に質問は?」
「……ない、です……」
「そ。 じゃあこの話は終わりでいいね? あーぁ、せっかく志岐さんが黙っててくれようとしたのに。 君らのせいでクラス中にソッコーでバレちゃったじゃん」