志岐さんと夏目くん


はぁ〜ぁ……と、あからさまに大きなため息をついた夏目くんに、女子たちは



「「 ……ごめんなさい!! 」」



と声を合わせて謝った。


そしてそのまま逃げるように教室を出ていった。

直後に、クラスがワァッと騒がしくなる。


その中で一際目立っていたのは、大笑いする小日向くんだった。



「あっはっはっはっはっ!! お前っ、昨日そんなことやってたのかよー。 つーか俺を呼べよ、化粧バッチリで彼女のフリをしてやったのにっ」

「小日向、うるさい」

「いやぁお前、ほんっと最高だわー。 志岐さん、ウチの馬鹿が迷惑かけてごめんなー!!」



そう言った小日向くんに、周りの男子たちも わははっ!! と豪快に笑う。

夏目くんは不服そうだったけど、それでも場の雰囲気は一気に和やかになった。



「ちょっと夏目くん、連絡してくれれば私が彼女役をやったのにー」

「私もやりたかったー。 で、みんなにバラして大笑いしたかった!!」

「ほんとだよー、チョー美味しい役だったのにっ。 あ、女子全員で行って向こうの男たちをビビらせるのも面白かったかもねっ」


「アハハッ、いいね、ハーレム軍団っ!!」

「ねっ、楽しそうっ!!」



と、馬場さんを筆頭に女子たちも盛り上がっている。

……もっと荒れるかと思ってたのに、全然大丈夫みたい。


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