志岐さんと夏目くん
「夏目、昨日のこともっと詳しく話せよっ」
「私も知りたいっ!! 教えて教えてー!!」
と、たくさんの人が私と夏目くんのそばに集まってきた。
密度が……ヤバい……。
そんな彼らに向けて、夏目くんが苦笑する。
「それがさぁ、色々大変だったんだ。 昨日は六人でカラオケに行ったんだよ。 俺と志岐さん、男友達二人、とその彼女さんたちね」
「うんうん、それで?」
「アイツら、部屋ん中でイチャイチャし始めたんだよねぇ……。 ていうか入る前も、既に路上でイチャついてたけど。 で、俺らにもイチャつくのを要求してきたわけ。 「ほんとの彼女ならお前もやれば?」って、馬鹿にした感じでさ」
「あぁーお前の嘘バレバレだったんだ? で、そのあとは?」
……そのあと。
そのあとに、私が夏目くんにキスをした。
男子二人に煽られて、苛立って。
つい衝動的に動いてしまったんだ。
……夏目くんはそのこともみんなに言うつもりだろうか?
と心配になりながら視線を向けると……ふっと笑った夏目くんと目が合った。