志岐さんと夏目くん


と、ホッと一息ついた時、スマホにメッセージが届いた。

それは、今の今まで近くに居た夏目くんからだった。



【 本当にごめんね 】



たった一言、そう書かれたメッセージ。

チラリと夏目くんを見ると、すぐに目が合って……苦笑いと共に「ごめん」のポーズをしているのがわかった。


だから私は「大丈夫っ」と誰にも聞こえないほどの小さな声で言い、手をパタパタと横に振る。

それを見た夏目くんは、安心したように笑って……視線を別の人のところに向けた。


また昨日のことを話しているのか、身振り手振りを加えながら楽しそうにしている。

周りに居る人も、みんな楽しそう。



……夏目くんって凄いな。

私はたった少しの時間 他人に囲まれただけでも疲れてしまうのに、夏目くんは違う。

他人を楽しませ、自分自身でも楽しむ。

そんな人なんだろうな。


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