志岐さんと夏目くん


装飾班は比較的 地味目な人ばかりが集まっていたけれど、今、教室内はかなり賑やかになっている。

それは、メイド役の小日向くん、鳴沢くん、馬場さん、寒河江さんが装飾作りの手伝いをしてくれているからだ。

まぁ、主に賑やかなのは夏目くんと小日向くんの二人だけどね。



「そういや夏目、あのあと中学ん時の奴らとは何もないのか?」



という小日向くんの問いに、夏目くんは笑う。



「ないない、一ミリもないよ」

「そっか。 でもソイツら、学園祭に来たりしてな。 ……あ、もしかしてお前がメイドやらないのって、ソイツらとの遭遇を警戒してるからか?」

「え?」

「だってほら、ソイツらお前を馬鹿にするような態度だったーって言ってたじゃん。 またお前を馬鹿にするために来る可能性だってあるだろ?」



と言う小日向くんの言葉に、夏目くんはキョトンとした顔を見せた。

まったくそんなことは考えていなかった、というような顔だ。


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