志岐さんと夏目くん
「いや効率良くやるなら まずは俺の輪っかを手伝ってくれよー……」
と、小日向くんがジト目で見る。
小日向くんの残りは、あと折り紙三枚分くらいだろうか?
輪飾りは小さい子供でも簡単に作れるものだけど、小日向くんはあまり手先が器用ではないらしい。
糊づけにかなり苦戦しているみたいだ。
「俺、こういうのマジで苦手なんだよ」
「クルッとやってサッと糊をつけてくっつけりゃ終わりじゃん」
「その簡単な作業が苦手なのっ」
「じゃあ買い出しの方に行けばよかったのに、なんでこっちに来たんだよ?」
「そりゃあ、こっちには志岐さんが居たからねぇ」
……え?
仲の良い夏目くんならともかく、なんで私の名前がそこで出るの?
「いや、なんで志岐さん?」
と、夏目くんも同じ疑問が浮かんだらしい。
だから私も、同意するようにコクコクと頷いた。