志岐さんと夏目くん


「えー? だって夏目が「彼女のフリ」を頼んだ子だしさ? 興味を持つのは当然じゃない?」

「……とか言って、お前ちょっかい出す気だろ」

「アハハ、お前は俺をどんだけ軽い奴だと思ってるんだよ。 とりあえず一番気になってるのは、「他の奴と喋ってるところは滅多に見ないけど、友達 居ないのかなぁ?」ってことかな」

「お前、それ凄く失礼だぞ。 志岐さん、小日向の馬鹿が死ぬほど馬鹿でごめん」



と謝る夏目くんに苦笑しつつ、小日向くんの問いに答えていく。



「友達はゼロじゃないけど、でもこのクラスの中には居ないね。 みんなただのクラスメイトで、大差はないよ」

「へぇ? それって寂しくない?」

「全然。 むしろ気楽でいいよ。 うちのクラスの女子たちはわりと大丈夫だけど、女同士のドロドロってかなり面倒臭いし」


「あー、確かに女子ってドロドロしてるイメージがあるね。 このクラスはどっちかっつーとサッパリしてる感じだけど」

「うん。 私、そういうドロドロした感じが苦手なんだ。 だから私は、他人とのやり取りは必要最低限にしてるの」



女子に限らず、男子に対しても同じだ。

もちろん、こうやって声をかけられた時はきちんと話すけどね。


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