志岐さんと夏目くん


「じゃあ、「彼女のフリ」をした時は色々大変だったんじゃない? 志岐さんも多少は向こうの奴らと喋ったんでしょ?」

「女子二人とは雑談したけど、案外大丈夫だったよ。 男子とセットじゃなければ、また会ってもいいかなって思うくらい」

「アハハ、男の方はほんっとにヤバい感じだったんだねぇ。 あーそのアホ男共、マジで学園祭来ないかなぁ」



そう言いながらニヤリと笑う小日向くん。

そんな彼の頭に、夏目くんが力いっぱいにチョップをお見舞した。



「いっ……てえぇ……」

「また手が止まってる」

「……ちょっとくらい休憩したっていいじゃん。 つーことで、飲み物買ってくるっ!!」

「あ、おい小日向っ」



夏目くんが止める間もなく、小日向くんはピューッと駆け足で教室を出ていった。

あっという間に、二人きりだ。



「……ハァ。 ごめん志岐さん、俺アイツの分を進めるよ。 どうせしばらくバックレる気だろうし」

「ふふっ、了解。 私はこのまま明日の分を作っておくね」

「うん」



短いやり取りのあと、それぞれ黙々と作業をしていく。


< 60 / 133 >

この作品をシェア

pagetop