志岐さんと夏目くん


どうしようかな。

カラオケなんて全然行ったことないし、ベタベタくっついてるカップルたちを間近で見続けないといけないのは正直キツい。

挨拶も終わったし、用事があるって言ってもう帰っていいかな。

……でもそれだと、夏目くんは一人でこの人たちと一緒に行く…ってことになっちゃうよね。

男子二人とは久々に会ったらしいし、カラオケ屋に行ったら色々と話すこともあるだろうけど……それ以上に、彼らはずっとこんな感じでイチャイチャしてそう。

そんな様子を一人でポツンと眺めてる夏目くんを想像したら……うん、かなり可哀想……。



「……」



チラリと夏目くんを見ると、心底困った顔をしていた。

むしろラブラブ全開な四人を見て引いてる感じもする。


……仕方ない。

もうちょっと一緒に居よう。

元々一時間くらいは一緒に居るつもりだったしね。



「おい夏目ー、志岐さんもっ。 置いてくぞー」



既に歩き出していた四人の姿を見て、ハッと我に返った夏目くんが私を見る。


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