志岐さんと夏目くん
……佐々木さんと平山さんが言ってたこと、今なら凄くよくわかる。
好きな人とならいつでもどこでもベタベタしたい。
恥ずかしいけどキスもいっぱいしたい。
好きな人が出来ると、本当にそうなんだ。
なんて思いながらクスクスと笑う私に、夏目くんが首を傾げる。
「なに、どうしたの?」
「ううん、なんでもない。 全然なんでもないよ」
「そう? 絶対なんかあると思うけど、まぁ笑うようなことならいいか。 それよりもこれからどうする? もう少しここに居る? それともどっか一緒に見に行く?」
「あちこち一緒に行きたい、って気持ちはあるけど……でもまた誰かに何か言われそうで怖いなぁ……」
他のクラスの女子二人が私のところに「口撃」してきた日を思い出す。
夏目くんが隣に居る時は直接言われることはないだろうけど、後日またあんな感じで誰かしらが物凄い剣幕でやって来そう。