志岐さんと夏目くん


……佐々木さんと平山さんが言ってたこと、今なら凄くよくわかる。

好きな人とならいつでもどこでもベタベタしたい。

恥ずかしいけどキスもいっぱいしたい。


好きな人が出来ると、本当にそうなんだ。

なんて思いながらクスクスと笑う私に、夏目くんが首を傾げる。



「なに、どうしたの?」

「ううん、なんでもない。 全然なんでもないよ」

「そう? 絶対なんかあると思うけど、まぁ笑うようなことならいいか。 それよりもこれからどうする? もう少しここに居る? それともどっか一緒に見に行く?」


「あちこち一緒に行きたい、って気持ちはあるけど……でもまた誰かに何か言われそうで怖いなぁ……」



他のクラスの女子二人が私のところに「口撃」してきた日を思い出す。

夏目くんが隣に居る時は直接言われることはないだろうけど、後日またあんな感じで誰かしらが物凄い剣幕でやって来そう。


< 91 / 133 >

この作品をシェア

pagetop