志岐さんと夏目くん
「じゃあ とりあえず教室に戻って、クラスの奴らに報告しますか」
「うぅ……メチャクチャ緊張する。 付き合ってること、秘密にしておきません……?」
「無理。 ていうか、うちのクラスの連中なら大丈夫っしょ。 むしろ喜んでくれるんじゃない?」
「……どうかなぁ。 根拠のない「大丈夫」ほど不安なものはないと思うんだけど……」
「大丈夫大丈夫、俺が一緒なら万事大丈夫っ」
……その自信はどこから来るんだろう。
なんて思いながらも、夏目くんと一緒に歩き出す。
そのまま私たちは、来た時と同じルートを通って校舎内へと戻った。
人と遭遇することが少ない道だから、誰かにジロジロと見られることもない。
それでもやっぱり、教室に近づくに連れて 人が増えてきた。
と、その時。
♪〜♪〜♪〜
夏目くんのスマホが、着信音を響かせた。
「うっわ、梶くんだ。 これはヤバいかも」
「え? ヤバいって、どういうこと?」
「緊急の連絡は梶くんの番号からって決めてたんだ。 だから多分、緊急事態。 ちょっと待ってね」
他の人の邪魔にならないよう、廊下の隅へと移動する。