志岐さんと夏目くん
「鳴沢。 四人はどこの教室?」
「一番左のところ。 男子は小日向が、女子は馬場ちゃんが宥めてるところだよ」
「そっか、わかった」
「いやいや、このくらいなんともないさ。 それよりも、志岐さんを連れて入るなら気をつけなよ? 男子二人はだいぶ興奮してたから」
「うん」
短くやり取りをしながら、二人はハイタッチを交わす。
と、その時に、鳴沢くんの視線が私に向いた。
「恋の愛の関係になった、という認識で大丈夫そうだね?」
「え? あっ……うん、恋の愛、です」
「そうか、それはよかった。 おめでとう」
「……うん、ありがとう」
鳴沢くんは、もしかしたら私の想いに気づいてたのかな?
夏目くんに対する気持ちを必死に隠そうとしてたのがバレてたのなら、ちょっと恥ずかしい……。
でも、嬉しいな。
「おめでとう」って言ってもらえるのは、やっぱり素直に嬉しい。