誰を？何を？見ているの？

１０項

☆☆変だ

彩葉の様子が変だ。

寝るのも、自分の部屋？
仕事重視の彩葉から
当直や当番が始まると
言われた。

仕事のことを言われると
何も言えないが·····

避けられている。

天音の事に気づいたのかな
俺に想い人がいると
彩葉は、感づいていたから

本来なら好都合な話だが
なぜか、寂しかったし
落胆していた。

天音からは、海外から
LINEが良く入る。
会いたい···だの
寂しい····だの
天音らしくて可愛いが····
LINEが、来ればくるほど
重たい気持ちになった。


そんな中、天音が帰国した。

帰国した日に
《　会いたい　》
と、連絡をもらい
夕飯を一緒にして
夜景の綺麗な場所へと歩く。

天音を自宅に送り
一度抱き締めてから
帰宅をする。

玄関に彩葉の靴があり
帰ってるんだと
あちこち見て回ると
ベッドの上で
息の荒い彩葉がいた。

おでこに触ると、熱い。
彩葉は、目を開く
「体調悪かったの？ごめん。」
「大丈夫。薬飲んだから。」
「熱、はかったの？」
と、言うと
「必要ない。」
と、言うが
熱を無理やりはからせ
熱さまシートを貼り
水分を持って行く
熱は、38度5分。

すると、ヨロヨロ立ち上がる
彩葉に
「何をしてるの？」
「ああ、移したら行けないから。」
と、掛け布団を持って寝室を
出て行こうとする。

そんな彩葉を抱き上げようと
すると
「···触ら···ないで···」
と、肩で息をしながら

そんな事、言われた事なかったから
驚いていると·····

「ごめん。悪いけど
香水の匂いが気持ち悪いから。
私は、あっちに行くから
あなたは、ここに寝て。」
と、言って体を無理やり
動かしてから自分の部屋へと
入って行く。

えっ、香水？くさい？
気持ち····わるい·····

·····天音·····の·····だ····っ

眉間にシワを寄せて
目を閉じたまま
告げる彩葉に返す言葉がなかった。

彩葉は、やはり·····
知っているんだ

呆然と立ち尽くしていたが
シャワーを浴びて
着ていたスーツは
クリーニングの袋に入れて

彩葉の部屋に入ろうとしたが
鍵がかかっていた

なぜか、堪らない気持ちになる

妻である彩葉の体調さえも
気づかずに。
他の女の香水を身につけて
帰宅する旦那に
そばに居てほしくはないよな。

しばらく、彩葉の部屋の前から
動けずにいたが····

天音から電話があり
寝室へと移動して電話に出た。