誰を？何を？見ているの？

１２項

☆☆頼みの綱

「バカなやつじゃ。
彩葉の言った通りにしていたら
良かったのに。
忠臣、すまぬのう。
いくら娘といえ
百合は、止められん。
わしも、薫君を信じていた部分があり
百合に念を押されていたから。」
「かまわん。
すまぬな、勇三。
わしが、この話を持たねば良かった。」
お互いの気持ちは
お互いが一番わかってる。

ただ、忠臣の資産だけは
守らないと行けない
それだけは。
と、思う勇三だった。

忠臣とわかれて
帰宅すると
百合を呼び話をした。

全てを·····

穏やかな、お嬢様のような百合の顔が
一気に変わる
「わかりました。」
それだけを言うと部屋を出て行く。

「すまぬ、忠臣。」
と、肩を落とす勇三に黒木は、
いたたまれなかった。

大事な彩葉様を傷つけたられた
ことには、黒木とて
腸が煮えかえっている。
まして、彩葉に向かって
命を軽視する言葉を言うなんて····

遥様をお側でずっと
支えてきた彩葉様。

遥様が亡くなってからは、
本当に言葉にならず
総帥もご両親様も
彩葉様から目を離す事が
出来なかった。
とも子様、凪様とて
離れられなかった。
それだけの状態だったのだが
それを救ったのも
遥様だった。

遥様のお手紙から
本当に、少しずつ、ゆっくりと
彩葉様は、ご自身を取り戻して行った。

遥様の思いがなければ
今の彩葉様は、いない。

その時の百合様は、
たった一人の娘を失うかもと
半狂乱になり
隼人様が全力で守ったのだ。

そんな彩葉様をまた？
と、なると····
百合様をお止めすることは
無理だろう。
と、総帥はお考えだ。

無論、総帥とて
腸は煮え返しているだろう。

私は、決してお願い出来る方では
ないが、彩葉様に連絡をした。

まだ、お仕事が終わられていないのか
彩葉様は、お出にはならず
「宜しければ、お手すきになられたら
お電話頂けませんか？」
と、伝言を入れた。