彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目


 氷牙さんは、流れるように立ち上がると


 「みくるのこと、やっと捕まえた」

 
 力強い腕で私を抱きしめた。



 ひゃっ!

 なっなななっ……なに?!



 男らしい胸板に押し当てられた私の耳。

 予想以上に速い氷牙さんの心臓の爆音が、ダイレクトに聞こえてくる。



 長年の片思いが実ったみたいな切ない抱きしめ方、やめてください!



 自分が愛されているって脳が勘違いして

 つい、ついつい

 自分を守っていた鎧をはぎ取るように、氷牙さんに身をゆだねたくなっちゃうので。




 

 「みくる、誕生日おめでとう」


 声、甘すぎ。

 優しすぎ。



 「あっ…ありがとう……ございます……」


 「籍を入れるのは、みくるが高校を卒業するまで待つから」


 「……はい」


 「今だけ、みくるを抱きしめさせて」


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