彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目


 男の人にこんなにも力強く、こんなにも愛おしく抱きしめられたのは初めてで

 幸せすぎてつい、素直に頷いてしまいました。



 でも、どうしてなんだろう?



 高校では難のある、この私。

 県内の大人気アイドルに、なぜ結婚を申し込まれのかな?




 あっ、そっか。

 そういうことか。



 これはバイト。

 きっとゾルックの、プロモーションビデオの撮影なんだ。



 この撮影が終われば、甘い夢から覚める。

 氷牙さんも「お疲れ~」って手を上げながら、私の前からいなくなる手筈に違いない。





 私を抱きしめる、氷牙さんの腕が緩み


 「今日だけだから」


 氷牙さんの手のひらが、私の頭の後ろを包みこんだ。



 「俺の熱、この先ずっと覚えてろよ」



 氷牙さんの切なく揺れる瞳と、視線が絡む。



 「俺は死ぬまで、みくるのことを手放す気はないから……」



 彼の言葉なんて、本気にしたらダメなのに



 「永遠に俺のそばにいろ」



 やけに優しくて艶っぽい視線に、私の瞳までとろけそうになって……

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