彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目
確かに……
悔しいけど、総長の言う通りだよ。
一目ぼれした相手が、私じゃないのに
勘違いで私と結婚して。
私は私で、自分の黒歴史や
暴走族の姫であることを、隠したままで。
全部がバレて、離婚となったら
氷牙さんのアイドル人生の汚点となる。
大好きな人の足を引っ張るようなことは、
絶対にしたくないなぁ……
でも……
氷牙さんとも……
離れたくない……
「脅しで好きな子を手に入れようとする
僕のやり口は、汚すぎでしたね」
総長は
「申し訳ありませんでした」と
深く頭を下げると
「僕は本気で
氷牙さんから姫を奪いますから」
普段通りの、王子様級の笑顔を浮かべ
「姫、覚悟していてくださいね」
私の手のひらに、スマホを乗せると
武道場のドアを開けてくれた。