彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目
「綺月、どう思うよ?」
「どうって?」
「俺ってさ、みくるに嫌われる前に、
婚約を解消するべきだと思うか?」
そもそも俺は
みくると結婚したとしても
人としての幸せを与えてあげることは
不可能で。
ゾクゾクさせ過ぎたら、みくるは死ぬ。
だから、子供なんて絶対に作れない。
俺の惚れた
みくるの『人情味』って奴は
母親になった時、
一番に発揮されると思うのにな……
「今、俺が……
みくるの前から姿を消せばさ……」
肩を落とし
視線も床に落とした、情けない俺に。
「ゾルックの絶体君主の魔王様は、
そんな弱気発言をする奴じゃ
なかったと思うけど」
綺月は、地に落ちたままの
俺の心を包み込むように
やけに優しい声を、放ってくれたけれど。
「俺も一応、
人間の血が通ってるからさ。
弱音を吐かないと、
潰れそうになることくらいあるんだよ」
彼女とハッピーすぎ。
人生バラ色。
勝ち組高校生。
そんな綺月に、
俺の気持ちなんてわかんだろうな。
諦めのため息が漏れてしまう。