彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目
もしかして……
心が海のように広い総長の、
逆鱗に触れちゃった?
私の発言の、何がいけなかった?
顔色を伺いたくて
私は急いで、総長の顔を覗き込む。
口を一文字に結び、
苦しそうに窓の外を見つめる総長。
「私……
怒らせるようなこと……
言っちゃったかな?」
数秒遅れで顔を上げた
驚き顔の総長と目が合い。
「……えっ?」
見開いた目で、
ハテナを返されたから。
「総長が怒ってないなら……
良いんだけど……」
私の声は、語尾に近づくにつれ
自信なさげな、小声になってしまった。
「僕は姫に、
怒ってなんていませんよ」
総長は慌てて、笑顔を作ると。
「姫は、何も悪くありませんから。
お気になさらずに」
顔の前で
オーバーに手を振りだしたけれど。
「早く席に着けよ~」
担任が教室のドアを開けながら
放った声で
総長とのおしゃべりは、強制終了。
瞳が蔭った
総長の本心が聞き出せぬまま
いつの間にか昼休みになってしまった。