彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目
漆黒のサラサラ前髪を
ワイルドに掻き上げる、悪っぽい仕草。
真っ赤なスクエア眼鏡の奥にある
眼圧凶器の鋭い瞳。
その目は、
明らかに私を睨んでいて
ゾゾゾと、体が身震いしてしまう。
氷牙さん、本人だし……
なぜ変装無しで、
私の高校の近くにいるんですか?
私に用ってことは、無いですよね?
見ず知らずの者同士として
この場を通り過ぎて、問題ないですよね?
私を取り囲む、子猫ちゃん達も
「あの人って、ゾルックの氷牙さん?」
「本物、初めて見た」
「カッコ良すぎ!」
なんて、騒ぎ始めちゃったし……
早くこの場から消えた方が、
身のためかも……