彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目
「みくる……
なんか……ごめんな……」
心から申し訳ないと
思っているのがわかる
氷牙さんの苦しそうな声が、
私の耳に降ってくる。
涙なんか出ない。
でも、涙が出てないだけで
私の表情は、
泣き顔と変わらないくらい歪んでいる。
「……別に。
たいしたことじゃ、ありませんから」
心の痛みを耐えるように、
奥歯をきつく噛みしめていると
氷牙さんが、
私の頭にヘルメットをかぶせてきた。
「顔が隠れれば、
みくるも、思う存分泣けるだろ?」
メットの上に置かれた、
氷牙さんの手のひら。
温度なんて全く感じないのに
なぜか後頭部が、
じーんと温かみを感じてしまう。