彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目



「で? 話しって何?」


「それは……」



「俺に関係すること?」


「……そうです」



「待たせすぎると吠えるガキがいるから、
 ちゃちゃっと終わらせてくれない?」




迷惑そうに歪む、氷牙さんの顔。


怒っているようにも見えてしまうから
私の口が、ゴモついてしまう。




でも、ちゃんと言わなきゃ。


これ以上

子猫ちゃん達にがっかりされる人間には、
なりたくないから!






サラサラと心地いい風が
私の心の中まで、吹き込んできた。



サヨナラを告げる覚悟ができたのは

木々の葉を優しく揺らすこの風に
背中を押してもらえたからかもしれない。



私は体中の空気を吐き出し

今できる精いっぱいの笑みを、
顔に貼り付けた。


< 199 / 343 >

この作品をシェア

pagetop