彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目



「最強総長として、
 女子たちにキャーキャー言われても。
 氷牙さんに勝てる自信は、
 微塵もありませんでしたから」と、

夕焼け空を見上げる総長。



返事に困った私も

オレンジ色の空にすがるように、
視線を逃がしてしまう。





「高校時代。
 どれだけ僕があなたに好意を伝えても、
 姫の心には響かなかった」



それは……


「下品な父親に育てられたせいで。
 総長の極甘ゼリフに、
 身震いしちゃうからで……」


「少しも僕の放つ極甘に
 揺らいでくれなくて。
 僕のメンタルは
 ボロボロのズタズタだったんですよ」



「……ごめん」


「謝らないでください」


「でも……」



「プライドが邪魔をして
 僕は自分の弱さを、
 笑顔で隠していたんですから」

「……」


「気づいてくれない!と嘆くのは、
 僕のエゴ以外の、何物でもありません」


< 247 / 343 >

この作品をシェア

pagetop