彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目
このバスは、まるで
選挙カーのバスバージョン。
真っ白なバスの上に
『ゾルック 全国デビュー おめでとう』
の看板が
一周取り付けられていて。
バスの上に立つと、
集まってくれた人を見下ろす形となる。
「こんな高いと
心美にハイタッチは、絶望的だなぁ」
ファンに笑顔で手を振りつつ
ボヤキをこぼした、器用イケメンに。
「なに綺月?
こんなに人目が多いのに、
隙あらば彼女に触れようって
企んでたわけ?」
あきれ声をぶつけるも。
「俺はいかなる時でも、
心美に触れたくてたまんないんだよ!」
八重歯が光るやんちゃ笑顔が、
跳ね返ってきて。
「その気持ち……
わからなくもねぇけど……」
俺の口から
情けないボヤキがこぼれてしまった。