彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目
バスが、
和菓子屋の前を通り過ぎた。
俺とみくるの距離が
ゆっくりと開いていく。
「氷牙様、こっち向いて~」
背中側から飛んできたファンの声に
ハッとなり
俺は、みくるに背を向けた。
「キャ~! 氷牙様、カッコいい~」
「サンキュー」
みくるには、笑えないのに
他の人には、歯が見えるくらい
二カって笑える自分が、嫌になる。
ファンの子達に笑顔を飛ばし
手を振り返していた時
俺の背中に、何かが当たった。
足元に、何かが転がっている。
かがんで、拾い上げると……
これって……鍵?
この鍵って……
俺がみくるにあげた、
マンションの合鍵だよな?