彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目
みくるに投げ返された合鍵を
見つめていると
綺月が、俺に微笑みかけた。
泣きそうなほど歪んだ
綺月の笑顔に
俺の心が、ジリジリと痛む。
「氷牙のツラさは、
後でいくらでも聞いてやるからさ」
「……」
「控室に入るまでは、
ゾルックの絶体的魔王を演じきれ。
なっ!」
何だよ……
綺月まで泣きそうな顔するなんて。
卑怯じゃんか。
プライド的に
3つも年下のガキ綺月に、
情けない自分を見せたくない俺は。
「うわぁぁぁぁ」
ぐちゃぐちゃな俺の心の中みたいに
綺月の髪を、鳥の巣状態にすると
「綺月、へんな髪型~」
「氷牙が、やったんじゃんか!」
「カラスにつつかれる前に、
直してやるから。
ほら。頭、貸せ」
綺月をいじることで
なんとか、
顔面に笑顔を取り戻した。