彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目
氷牙さんに会いに行って、
何を期待していたわけ?
『笑って』と書かれた、うちわを振れば
私に笑いかけてくれると、思ったわけ?
そんなこと、あるはずないじゃん。
だって。
氷牙さんが
私に送り返した段ボールの底に
『もう二度と、俺に関わるな!』
そう、書かれてたでしょ?
それって……
『アイドルの俺にも、会いに来るな!』
そういうことだよね?
総長に背中を押され
私と断絶したい氷牙さんの気持ちを
蔑ろにして
会いに行ってしまったけれど……
私はもう、何も期待しない。
氷牙さんとの、
宝石のようにキラキラした思い出も。
涙が枯れるくらい泣き続けた、
失恋の痛みも。
全部。全部。
大嫌いなイチゴと一緒に、
あんこの中に詰め込んで
真っ白いお餅で包んで、見えなくして
思いっきり、ぐっちゃぐちゃに
踏みつぶしてやるんだから!