彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目


 そう言われたら、命の危険がない方を選ぶでしょ?

 普通はそうだよね? 

 私は間違ってないよね?



 『知らない男に嫁ぐ方が、まだマシだよ』



 あの時、テキトーに答えた結果

 私抜きで、結婚話がどんどん進み。

 ついに嫁ぐ日がやって来てしまったのだ。






 私は自分を呪うどす黒いため息を、スパンコールでキラキラした胸元に吹きかけ、脳を分析モードへ。



 ドレスの裾を握りしめ、この結婚式場から必死に逃げたとしても……

 私の末路は、海の底。



 重りを体に巻き付けられ

 借金取りさんのひと蹴りで、冷たい海にドボン。



 そうなると、海の底が私の墓場かぁ。

 深海魚と仲良くなるどころか、餌としてつつかれちゃう。



 痛いだろうなぁ。

 溺死って苦しすぎだろうなぁ。



 そんな苦行を想像したら


 『お金で女を買わないと結婚できないくらい、見た目と性格がヤバイおじさんと一緒に暮らす方が、まだマシ』


 そう思っちゃうよ。


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