彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目



 数時間前

 家の前で、お迎えの車に私を押し込んだダメ父に


 『挙式は、新郎と二人きりだから安心しろ』


 なんの安心要素もないことを、しれっと言われちゃったけれど……



 このドアの向こうに、私の旦那様になる人が、いるってことだよね?



 ここまで来たら、後戻りはできない。



 生理的に受け付けない相手だったとしても、この人生から逃げられないなら笑わなきゃ。



 自分をハッピーにできるのは、自分だけなんだから。





 「新婦様、お時間になりました。チャペルのドアを開けますね」



 心に沁みるほど優しいプランナーさんの笑顔にほっこりして、私は覚悟を決めた。



 背筋を伸ばし。

 深呼吸をして。

 笑顔を作る。




 ゆっくり空いたドア。



 チャペルの壁は、見とれてしまう程、綺麗なステンドグラスがはめ込まれ

 ロマンチックな空間に、童話のお姫様になったようなうっとり気分にさせられたけれど……

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