君に捧げる一途な愛
「今日、博美と会ったんです」
「そうか。じゃあ、この話も知っているのかな?」
「なんとなくは聞きました」
「彼女、また俺の愚痴を言ってなかったか?」
ここで嘘をつくわけにはいかず、正直に話した。
「言ってましたね。堅物がって……あっ、すみません」
ばか正直に言った結果、うっかり博美の言っていた言葉を口に出してしまい、慌てて謝罪した。
「堅物ね。まあ、会社ではそう思われても仕方ないが」
小笠原課長は特に気にすることなく言う。
プライベートでは小笠原課長が堅物じゃないと幸也くんが教えてくれたと由香が言っていた。
私も堅物ではないというのを知っている。
博美たちが知らない小笠原課長の一面を私が知っているということに優越感じゃないけど、特別なんだと思えて嬉しくなる。
そんなことより、小笠原課長は私の名前が聞こえたから注意したと言っていた。
朝倉さんが博美のことを相談していたと言っていたことが気になっていたので、それを確かめたくて口を開いた。
「あの、朝倉さんから博美のことで相談を受けていました?」
「どうしてそれを?」
小笠原課長は不思議そうな顔をする。
「昼に博美と朝倉さんが話していたんです。朝倉さんが、博美がいつも話しかけてきて仕事に支障が出るので小笠原課長に相談したって聞いたので」