君に捧げる一途な愛
「志乃、それは反則だろ」
そう言って政宗さんは顔を赤くする。
なにが反則なんだろうと首を傾げる。
「無自覚に俺を仕留めてくるんだな。このお礼は後日、たっぷりするから」
「どういうことですか?」
「いや、なんでもない」
政宗さんは首を振り、話を終わらせた。
あっという間にマンションに着いた。
私の住んでいるマンションは入居者の来客用に四、五台程度駐車場が完備されている。
ちょうど開いているスペースがあったので、そこに止めてもらった。
「送っていただいてありがとうございました」
シートベルトを外しながらお礼を言う。
いつの間にかシートベルトを外していた政宗さんが身を乗り出して唇にキスしてきた。
咄嗟のことに目を瞑ることも出来なかった。
「志乃、週末のデートは泊りの用意をしておいてもらいたいんだけどいい?」
唇が離れると、至近距離で見つめながら尋ねてくる。
泊りってことは、つまりそういうことだよね。
想像しただけで私の顔は赤く染まった。
私はキスの気持ちよさを知ってしまった。
それ以上も興味がないと言えば嘘になる。
多少の不安はあるものの、政宗さんとなら先に進んでみたい。
私はドキドキしながら頷いた。
「よかった。じゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
助手席から降りて車を見送ったあと、私は顔を赤くしたままマンションへと足を向けた。