君に捧げる一途な愛
彼の想い、妹の本心

土曜日。
家でブランチを食べ終わり、政宗さんがマンションまで迎えに来てくれた車に乗り込んだ。
言われた通り、私はお泊りセットの入った少し大き目なバッグ持参で。

そして、まず向かったのは水族館。
入り口のゲートを抜け、控えめな照明でライトアップされた薄暗い館内に入る。
通路を抜けると、目の前には大きな水槽が広がっていた。

「わぁ、すごい」

思わず声が漏れた。
イワシの群れやエイなど大小さまざまな魚が気持ちよさそうに泳いでいる。
水族館に来たのは何年振りだろう。

妹の綾乃が行きたいと言って、小学生の時に家族で来た以来だから十年以上は経っている。
いつも出掛けるときは綾乃主導、彼女の行きたい場所へ行っていたので、水族館でも綾乃の見たい場所ばかり回った気がする。

水槽のガラスの向こう側のエイが、目の前をゆっくりと泳いでいる。

「迫力がありますね」

「そうだな」

政宗さんも視線を上に向けて水槽の中の魚の群れを見ている。
そんな彼は白のTシャツにネイビーのテイラージャケットを羽織り、デニムパンツを穿いている。

私は何を着ようか迷った結果、膝丈の花柄ワンピースにラベンダーのカーディガンを羽織った。
十月になったとはいえ、暑い日もあったりするので着る服には頭を悩ませている。

前も思ったけど、背が高くてスタイルがいい。
水槽を眺めている政宗さんを私は気づかれないようこっそりと見ていた。

「そんなに見つめられると照れるんだけど」

チラリと私に視線を向け、政宗さんが笑いながら言う。
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