君に捧げる一途な愛

カチューシャ姿は自分では見えない。
だけど、棚に置いてあるそれについているアザラシは真ん丸な可愛い目をしていて愛らしさ抜群だ。
そんなものがついているカチューシャなんて、私に似合うわけがない。
小さな子供とかつけたら間違いなく可愛いと思うけど。

「あの、恥ずかしいので取ってもいいですか?」

つけてもらった手前、強引に取れなくて政宗さんに確認した。

「可愛くてよく似合ってるのに残念だ」

そう言って政宗さんが私の頭にはめていたカチューシャを取り、残念そうに棚に戻す。

「他になにか気になっているものはある?」

「気になっているもの……」

手のひらサイズのアザラシのぬいぐるみも可愛かったし、カワウソの置物も捨てがたい。
ふと目に留まったのは、ゴールドでイルカの形を縁取り、青、黄色、ピンク、虹色などさまざまな色のキーホルダー。
鍵につけたら可愛いかも。

「このキーホルダーを買おうかなと思ってます」

政宗さん用にも買ってお揃いにしてみたいな、なんて。
好きな人とお揃いの物を持つとか憧れがあった。
でも、こんな可愛らしいキーホルダーを政宗さんはいらないよね。

「イルカのか。色違いで俺も買おうかな」

「本当ですか?」

予想外の言葉に私は嬉しくなり、興奮気味に聞く。

「ああ。もしかして、お揃いとか嫌か?」

「いえ、逆です。政宗さんとお揃いの物を持ちたいなと思っていたので。何色がいいですか?」

「青かな。好きな色だし」

「分かりました」

私は青のイルカのキーホルダーと自分用の虹色のキーホルダーを手に取った。
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