君に捧げる一途な愛
「それとこれ」
再び、私の頭につけられたアザラシのカチューシャ。
まるでお帰りなさいと言わんばかりのフィット感だ。
「もしかして、買ったんですか?」
「可愛かったからつい」
政宗さんはニコリと笑う。
つい、じゃないんですけど!
でも、政宗さんの笑顔を見たら文句が言えなくなった。
せっかく買ってもらったし、記念にこのぬいぐるみと一緒に飾っておこう。
「あ、ありがとうございます」
私は苦笑いしながらお礼を言ったあと、お互いのキーホルダーを交換した。
「志乃はどこにつけるんだ?」
「私は家の鍵につけようと思ってます。政宗さんは?」
「俺は会社のロッカーの鍵につけようかなと。仕事の時、ロッカーの鍵はいつもポケットに入れているからな」
袋から出した青色のイルカのキーホルダーを目の前で揺らす。
「お揃い、嬉しいです」
私はカチューシャとぬいぐるみ、キーホルダーの入った紙袋を胸に抱きしめる。
不意に政宗さんの腕が私の肩を抱き寄せてきた。
「そんな可愛いこと言うなよ。今すぐキスしたくなるだろ」
私の耳元に唇を寄せて囁く。
というか、完全に私の頬に唇の感触があった。
私はポッと顔を赤くしながら、抗議の声を上げた。
「ま、政宗さん!」
「あー、ごめん。そこに頬があったからつい」
クスクス笑いながら悪びれることなく言い放つ。
さっきから、"つい"ばっかりだ。
「誰も俺たちなんて見てないよ。そろそろ出ようか」
政宗さんは私の手を握り歩き出した。