君に捧げる一途な愛

「本日はありがとうございます。シェフの河村です」

厨房からわざわざ個室までオーナーシェフが出向いてくれた。

「あの、お料理すべて美味しかったです」

「ありがとうございます。そう言っていただけてシェフ冥利につきます」

「河さん、今日はありがとうございました。個室を準備してくれるなんて思ってなかったので」

「政宗のデートなら協力するだろ。女性と一緒だと聞いたときは本当に驚いた。しかも、こんな可愛い子を連れてくるんだからな」

私はその言葉に赤面する。
二人の会話を聞いていると、河村さんの方が政宗さんの年上なんだというのがわかった。

「片想いしていた女性ですからね。初デートは河さんの店でって決めてたので」

「嬉しいことを言ってくれるね。ところで、最近はバスケしてないみたいじゃないか。梅原が言ってたぞ。幸也と政宗が誘っても来ないって」

「あー、すみません。忙しくて」

「そろそろ顔を出してやれよ。あいつら、食べに来た時に愚痴ってるからな」

「そうですね。また時間を作って行ってみます」

「喜ぶぞ、きっと。じゃあまた」

河村さんは政宗さんの肩をポンと叩くと、私に向かってお辞儀して個室を出ていった。

「政宗さんはバスケをされていたんですね」

「ああ。実は子供の頃は太っていたんだよ」

「えっ、政宗さんがですか?」

「そう。それで少しでも運動した方が痩せるかもと軽い気持ちで入ったミニバスが強豪チームだったんだよ」

そう言って苦笑いする。
政宗さんが太っていたなんて驚きだ。
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