君に捧げる一途な愛
「うわぁ、綺麗ですね」
私はライトアップされた景色を見て声を上げた。
さっき、食事をした帰りに政宗さんの先輩から、すぐそばにある庭園がライトアップされているという話を聞いた。
特別に車を駐車場に止めさせてあげるから行ってみたらと言われて、お言葉に甘えることにした。
歩いて十分弱、目的地の庭園に着いた。
ここは街中にある日本庭園で、四季折々の花や木を堪能でき、庭園の真ん中に大きな池がある。
その回りに植えてあるたくさんの木々がライトアップされ、水面に反射した光が幻想的な空間を醸し出している。
広い花壇には季節の色とりどりの花が植えられていて、また昼にも見に来たいぐらいだ。
身近にこんな庭園があるのを知らなかったので、教えてもらえてよかった。
十月に入ると、週末に十八時から二十時までライトアップされた庭園を見ることができる。
先週ぐらいから秋のライトアップが始まったけど、時期的に紅葉はまだ早かった。
それだからなのか、ライトアップを見に来ている人はそこまで多くない気がした。
人もまばらで、すれ違う人も少なかった。
きっと、紅葉の時期はもっと綺麗なんだろうけど、今も様々な光に彩られた木々を見ているのも綺麗で楽しい。
「あそこに座ろうか」
政宗さんが空いているベンチを指差した。
ベンチに座り、幻想的な景色を見ていたら「志乃」と私を呼ぶ声がした。
そちらに視線を向けると、政宗さんが私を見つめていた。
政宗さんの手が私の頬に伸びてきて優しく撫でられ、心臓の鼓動が激しくなっていく。
ゆっくりと顔が近づいてきて、私は自然な流れで目を閉じた。