君に捧げる一途な愛
唇が重なり、優しく食んだり啄むようなキスを繰り返す。
だんだん深くなってくるキスに、息が苦しくなってきた。
如何せん、慣れていないので呼吸するタイミングが分からない。
息を吸おうと開けた唇の隙間から、ぬるりと舌が侵入してきた。
「んんっ、ン……」
自分のものとは思えない鼻にかかった声が漏れた。
政宗さんの舌が歯列をなぞり、上顎や頬の内側を撫でていく。
口内をかき混ぜられ、舌を絡ませ合う口づけに背筋がゾクリと粟立つ。
蕩けるような甘いキスに身体の力が抜けていく。
好きな人とキスをしているという幸福感がじわじわと胸の奥に広がっていた。
***
さっきは本当に危なかった。
このまま溶けてしまうんじゃないかというぐらいキスに溺れてしまった。
ここが外だということも忘れて!
気が付けば、閉園間近。
ここに着いたのが十九時半、今は十九時五十五分だ。
少ししか居られなかったけど、大満足だ。
名残惜しさを感じつつ、私たちはベンチから腰を上げた。
「ここを教えてくれた河さんに感謝だな」
「本当ですね。今度は昼間に来ませんか?」
「そうだな」
政宗さんが差し出してきた手をドキドキしながら握る。
ここで手を繋がないという選択肢は私にはない。
誰か知り合いに見られたらどうするんだろうとは思うけど、政宗さんは特に気にしていないみたいだ。
まあ、夜だしそうそう知り合いには会わないだろう。
そんなことを考えながら庭園を出て、元来た道を歩いていると正面から歩いてくる女性と目が合った。