君に捧げる一途な愛

私はハッと息をのみ、その場に立ち尽くした
どうしてこんなところで……。
さっきまで楽しかった気持ちが一気に消える。

胸まであるミルクティーベージュのストレートの髪、クッキリとした大きな目はつけまつ毛を付けてさらに目元を強調させている。
その目が一瞬大きく見開いたあと、ニヤリと口角を上げた。
私はその顔を見てゾッとした。

「志乃、どうしたんだ」

急に止まったからなのか、政宗さんが心配そうに声をかける。
私は突然のことに返事を返すことが出来ずに俯くと、さっきの女性が近づいてきて私の目の前で止まった。

「お姉ちゃん、久しぶり。こんなとろこで会えるなんて偶然だね」

その声に顔を上げると、数年ぶりに会った妹の茅乃が私を見て微笑んだ。

「あれ?久しぶりの再会なのに喜んでくれないの?」

茅乃は私の腕に絡みついてきた。
私がこの再会を喜べるわけがない。
できれば、二度と顔を会わせたくない人物だ。

「茅乃、手を離して」

「どうしてそんなことを言うの?私、ずっとお姉ちゃんに会いたかったんだよ。大学卒業してからの行き先を教えてくれないなんてひどいじゃない」

そう言って茅乃は頬を膨らませる。
いったい、どの口が言っているんだろう。
ひどいのはどっちなんだ。
私は気持ちを必死に抑え、口を開く。
 
「私が住む場所をあなたに言う必要がないと思ったから」

「なんで?私とお姉ちゃんの仲でしょ。お父さんに聞いても全然教えてくれなくて、私はずっと探していたんだよ」

探し出して何をしようというのよ。
どうせまた、自分の思い通りにしたいんだろう。
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